トラブル解決-(1)他社に自社特許の侵害をされていると考えられる場合

     侵害品と思われる商品が自社の知的財産権の範囲なのかどうか、どこの会社が製造販売しているのか、自社がどの程度の損害を受けているのかなどを慎重に調査します。

     そして、他社が特許侵害品を販売していることを発見した場合には、これを絶対に見逃してはいけません。
     まずしなければならないことは、侵害品を製造販売している会社に知的財産権の侵害をしていることを警告することです。
     尻込みをして警告を躊躇する会社があります。そして、ライバル会社の特許権侵害に対して、「今回見逃したんだから、ウチが特許権を侵害するようなことがある場合には、ライバル会社も見逃してくれるだろう。」などと勝手な解釈をします。
     そもそもライバル会社に警告をして特許権侵害の事実を知らせなければ、ライバル会社に侵害を見逃したことすらわからないのです。侵害したライバル会社に対してどのように対処するかは、警告後の相手の反応を見て考えればいいことです。

     他社への警告は、いつも差止め請求や損害賠償請求をすればいいというものではありません。慎重に検討する必要があります。
     とくに、侵害する会社が大企業であって、貴社商品の周辺にたくさんの特許を持っているような会社である場合には、要注意です。
     侵害をしている旨の警告にとどめておいて、貸しを作っておいた方が得策です。貸しを作っておけば、貴社が将来その企業の特許権を侵害するようなことがあったとしても、相手企業は大目に見てくれることになるだろうからでです。
     では、この場合に特許権侵害として訴えを起こしたらどうなるでしょうか?相手会社もやっきになって、現在貴社が市場に出している商品を片っ端から分解をし、特許権侵害がないか調べてくるでしょう。
     そして、特許権侵害の可能性のあるものに関して、警告をしてくるでしょう。
     もし訴訟が起こったら、そのときの弁護士や弁理士に支払う訴訟費用だけでも半端ではありません。
     それに費やす時間や労力も大変なものです。中小企業やベンチャー企業にとって裁判事件を抱え込むことは非常に負担なんです。できる限り、未然に防止すべきことなんです。

     これとは逆に、侵害品を市場に出している企業が貴社よりも小さな会社である場合には、積極的に特許権を行使し、侵害品をマーケットから排除していくべきです。
     弱い会社に貴社のシェアトップの地位を奪われてはなりません。何か弱いものいじめをしているようでいやですが、でも、放置することによって、その小さな会社が貴社の侵害品の販売で利益を得ることで徐々に力をつけてきて、ついには、貴社の商品と差別化された商品を開発するまでになったらどうなりますか?たちまち立場が逆転してしまいます。出る杭を打っていくことはとても重要なんです。

     また、シェアトップ以外のマーケットでの侵害が起こった場合に、すぐに差止め請求や損害賠償請求をせず、貴社が、そのマーケットでトップになろうとするときに、相手商品をそのマーケットから排除するようにすればよいでしょう。
     全国規模で同時に複数の侵害事件を抱え込むことは、資金に限界のある中小企業やベンチャー企業にとっては負担が大きすぎます。
     ただし、この場合にも、相手側に特許を侵害している旨の警告をし、貸しを作っておくことは当然です。
      実際に訴訟に持ち込んだ原告権利者の勝訴率は、30%程度です。侵害の証拠収集、侵害者の調査、侵害の立証、損害額の算定などに多くの労力がかかり、費用も高くなることを考えると、安易な争いをおこなってはなりません。裁判は最後の手段です。
     しかし、放置しておくと自社の経営戦略を大きく左右する場合には、訴訟に踏み切ることになります。

     また、訴訟に代わって、日本知的財産仲裁センターにおいて、調停や仲裁によって解決する方法もあります。
     調停であれば、調停人の協力の下に当事者が話し合い、和解の成立に向けて努力します。
     仲裁であれば、紛争の解決を仲裁人に任せ、仲裁人の判断により紛争の解決を図ります。 仲裁判断には、裁判所の確定判決と同様の効力が認められます。
     調停、仲裁は、手続きの簡易、迅速、秘密性の確保の点では、費用と時間がかかり公開の場でおこなわれる裁判による解決よりも優れており、有効な手段といえます。

     当事務所では、侵害成否の判断から訴訟手続きの補佐や調停・仲裁手続きの代理にいたるまで、侵害事件について対応していきます。

    日本知的財産仲裁センター
    http://www.ip-adr.gr.jp/


     中国や東南アジアで偽物商品を製造し日本に輸入してきてこれを販売する事例が増加しています。
     これらの偽物商品を国内流通する前の水際で規制する必要があります。
     特許権、実用新案権、意匠権、著作権等を侵害する物品に対しては、税関に対し輸入差止申立が可能です。当事務所では、この手続きの代理をおこないます。
     
    財団法人日本関税協会知的財産情報センター(CIPIC)
    http://www.kanzei.or.jp/cipic/

    税関
    http://www.customs.go.jp/index.htm

    東京税関
    http://www.tokyo-customs.go.jp/

    日本貿易振興機構(JETRO)
    http://www.jetro.go.jp/indexj.html

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